東京工芸大学で講義を行った。リッジレーサーや塊魂など数多くのゲームを中心に活動されている、尊敬する作曲家である三宅優さんにお誘いをいただいたからである。三宅さんはこの東京工芸大学でゲームサウンド論を担当されており、その最終コマとしてわたしがゲスト講師を務めた。
東京工芸大学の講義に登壇するのは2回目だが、前回は三宅さんの講義の中でゲーム音楽についてトークライブのように話すという内容であり、わたしの会社員時代の上司でもあったチップチューン界の貴公子・hallyさんと3人で行われたため、あまり事前準備も必要が無く当日もリラックスして講義に臨めた。
しかし今回は『音楽ゲームの作曲術について』というオーダーをいただいた。今回はhallyさんはおらず、約1時間半をまるまる使って講義せよとのこと。わたしはプレゼントークは好きなほうではあるのだが、長くても30分が関の山で、1時間半というのは経験が無い。しかも、他の多くの学生は夏休み期間中なのに登校し出席してくれる未来ある若者にわたしが一体何を教えられるというのだろう?
いろいろ考えた結果、作曲のテクニックというより、音楽ゲーム作曲家としての処世術というような内容になった。台本作りには3日以上かかったり、自分の悪い癖である早口が後半出てしまったようではあるが、適宜優しいサポートを差し込んでくれる三宅さんや、真剣に聞いてくれる学生のおかげで無事に講義をこなすことができた。卒業後特にフリーランスとして活動する音楽ゲーム作曲家になった彼らが、この日の講義を思い出して仕事の助けとなればこれ以上ない喜びである、と本当に思っている。
講義終わりでは三宅さんとホッピーをしこたま飲んだ。蜂窩織炎とその治療のため2週間ぶりとなったお酒は強烈においしかった。